じぶんの分身
公開日:2015年3月18日
「ハンコなんて、なんだっていいよ」なんて
思ってません?
子どもの頃はイマイチよくわからなかったけれど、
仕事を始めると、
「ハンコを押す」ということの意味や重みをズシッと感じます。
朱肉をつけて、書類へ。
「わたし」が認めた、という証し。
つまり「ハンコ」ってわたし自身。
「ハンコは自分の証明。
自分の価値を表すステイタスとして、
良いハンコを持つことで身が引き締まるのでは」
【片柳印章堂】の店主・片柳範雄さんのそんな一言が、妙に腑に落ちる。
上を目指す。
もっと新しい世界で挑戦する。
そんな前向きな気持ちで日々を送るならば、
「三文判でいいや」なんて
ハンコを簡単に考えるのはやめましょう。
だって、その印影は「あなた」なのだから。
直径 数mmの芸術
ほんの数mm〜大きくても数cmの直径。
そんな小さな印面に細やかに文字や図案が刻み込まれて。
片柳さんは「印章彫刻」という分野で道を極めた人。
厚生労働省が認定する「ものづくりマイスター」
そして「江東区優秀技能者」としても認定を受けられています。
この道40年以上。
「最初は荒彫り(あらぼり)で大変苦労しました」と片柳さん。
「荒彫り」とは、印面に朱墨を塗り、そこに墨で「字入れ」をした後
朱の部分を削り、文字を浮き立たせること。
なんでも、修行中はただひたすら
師匠が字入れしたハンコの荒彫りを繰り返していたとか。
荒彫りがしっかりできていないと、仕上げもうまくいかない。
つまり、基本を徹底的に身につけるということ。
これはどの世界も同じことですよね。
印刀を持つ手が自然で、無駄な力など一切入っていなくて。
その細やかな技は、
横で見ていて、思わず息を呑んでしまいます。
うん、これがプロ!
その作品とは・・・
鶴の表現が躍動的なものや、
漢字とともに、かわいらしい意匠が施されているものなどさまざま。
そうそう、
こちらのお店がある商店街のハンコも
片柳さんお手製!
まっすぐ仕事と向き合うために。
ちゃんとした大人になるために。
ハンコについてちょっと考えてみる。
今まで考えたことないからこそ、
「じぶんの分身」を今一度、振り返ってみませんか。
PS:
店内にはこんなものまでありました!
日本史の授業で登場した
日本最古のハンコ「漢委奴国王印(かんのわのなのこくおういん)」。
本物は福岡市博物館所蔵のため、
もちろん、レプリカですがね。