新たな食体験! 江戸時代の味を再現した握りずし
公開日:2022年4月14日
「江戸前すし」といえば、東京湾で獲れた魚介にひと仕事を施し、小ぶりのシャリと合わせた握りずし、というのが現代の一般的なイメージでしょうか。では、その元祖はどのようなものだったのでしょう。今回ご紹介するのは、江戸時代に深川界隈の庶民に親しまれた握りずしを味わえる、1970年創業の名店
すし三ツ木
△大将・三ツ木新吉さんが握る江戸前すしを求め、著名人も足繁く通う有名店です
現代の洗練された握りずしに加え、こちらで人気を博しているのが、江戸時代の文献を紐解き、その味を忠実に再現した「正調 江戸前にぎり寿司」2,200円。
△使用する米、握り方、大きさ、盛りつけ…、すべて当時のままに再現されています
△「正調 江戸前にぎり寿司」を再現するために大将が読み込んだ資料の一部を見せていただきました
△酒粕から作られる粕酢で仕込んだ赤シャリ。深みのあるまろやかな酸味が特徴です。米は当時使われていた関取米を使用
シャリの大きさは、現代の握りの約3倍。「当時のおにぎりは三角形ではなく俵型。そのおにぎりにネタをのせる、という感覚だったのでしょう。屋台で売られているファストフードという位置づけで、手早くお腹を満たすことが重要だったのではないでしょうか」と大将。
△握りの原点ともいわれる、本手返しで握る大将。美しく正確に、かつふんわりと成型できる伝統技法です
△右の模型が握りの理想型。まさに模型通りの美しい扇型です
マグロ、穴子、こはだ、エビなど、東京湾でとれるネタも、シャリに合わせて肉厚の大ぶりサイズ。酢で締める、塩をする、漬けにする、炙るなど、いずれのネタにも、冷蔵庫のなかった時代に保存性を高めるための仕事が施されています。
ひと仕事が加えられたネタは、味がしっかり入り、濃密な食感。そのぶんシャリは塩分控えめ、まろやかな粕酢の風味が感じられる優しい味わいに。3倍量ながら、大将の匠の握り技で、頬張れば、ほろりとくずれる繊細な食べ心地です。
△巻物の盛り付けも当時の文献通りに
大きさも味の構成も食感も、現在のものとは異なる江戸時代の握り。「握りずしは隅田川(大川)沿いの本所深川界隈で生まれ、下町の食文化として広まってね…」なんていう大将のうんちくを聴きながら、そして当時の生活や街並みに想いを馳せながら頬張れば、気分は江戸時代にタイムスリップ。
△13歳でこの道に入ったという大将、三ツ木新吉さん
江戸時代の庶民の味が現代では、エンターテイメント性を持つ非日常な食体験として楽しめるのも面白いところです。カウンターでひとり江戸気分に浸るもよし、デートや会食で注文すれば、食事の場が盛り上がること間違いなし。外国人の友人にも喜ばれそうです。
食べてみたい方、お電話で問い合わせてから足を運んでくださいね。
※記事の内容は2022年4月時点での情報で、表示価格は税込です。最新の情報はお店に直接お問い合わせください。