見えるより見やすい、その理由
公開日:2026年8月12日
※取材時点の料金、営業時間など変更している可能性があります。最新の情報はお店にお問い合わせください。
森下駅A4出口から徒歩1分。地域で長く愛され続けるメガネの三浦を再訪しました。
以前、ことみせでご紹介してから9年。今回は店舗のリニューアルを機に改めてお話を伺いました。
2023年頃に行われたリニューアルにより、店内は白を基調とした明るくすっきりした空間へ。以前から通うお客様の中には、「広くなったね」と驚かれた方もいたそうです。
一方で、変わらないものもあります。
それは、お客様一人ひとりの話をじっくり聞き、その人の暮らしに合ったメガネを提案すること。
「見える」だけではなく、「見やすい」を大切にする三浦さんの姿勢は、今も変わりません。
今回は、リニューアルした店内のこと、メガネづくりへのこだわり、そして50年以上見つめてきた森下のまちについて伺いました。
明るくなった店内、変わらない居心地
ビルの改修工事に伴い、メガネの三浦も店内をリニューアルしました。
以前はガラスを多く使った印象でしたが、現在は白を基調とした明るくすっきりした空間になっています。
「工事で一度出ることになったので、そのタイミングで全部きれいにしたんですよ」
そう話す三浦さん。
配置の変更や、壁紙なども一新。以前から通っているお客様からは、
「広くなったね」
と驚かれることもあるそうです。
もちろん、お店が大きくなったわけではありません。
色や配置、空間の見せ方が変わるだけで、こんなにも印象が変わるものなんですね。
初めて訪れる方でも入りやすく、ふらっと立ち寄りたくなる。
大切にしてきた「居心地の良さ」はそのまま残されています。


△明るく生まれ変わった店内。壁面やディスプレイスペースにはさまざまなメガネが並び、思わず手に取ってみたくなります
創業50年以上。ずっと変わらない考え方
メガネの三浦は、お父様の代から続くお店。
三浦さんご自身も18歳でこの業界に入り、気づけば50年以上メガネと向き合ってきました。
そんな長い経験の中で、変わらず大切にしていることがあります。
それが、取材中も何度も出てきた、
「まず話を聞くこと」
です。
どんな仕事をしているのか。
普段はどんな場面でメガネを使うのか。
車の運転をするのか。
スマホやパソコンはどれくらい使うのか。
視力の数字だけでは、その人に合うメガネはわからない。
大切なのは、その人の生活を知ること。
以前ことみせでご紹介した際にも、「お客様が何をしたいのかを聞くことを大事にしている」と話されていました。
その考え方は、年月が経った今も変わっていません。

△店内のメガネを背に撮影。少し照れた表情も、三浦さんらしさのひとつです
レンズ選びは“暮らし選び”かもしれない
今回のお話で印象的だったのは、レンズ選びについて。
正直なところ、私は「遠近両用」くらいしか知りませんでした。
しかし、三浦さんの話を聞いていると、中近両用や室内向け、パソコン作業向けなど、生活スタイルによってさまざまなスタイルがあることを知りました。
途中、私が理解に苦戦している様子を見て、三浦さんは笑いながら資料を取り出し、
「遠近はこうで、中近はこうなんですよ」
と、一つひとつ丁寧に説明してくれました。
おかげで、取材前よりもメガネについて詳しくなった気がします。
少なくとも「遠近両用しか知らない人」ではなくなりました。
最近では、スマートフォンやパソコンを使う方も増え、メガネに求められる役割も変わってきています。
遠くを見るためだけではなく、
仕事をしやすくする。
本を読みやすくする。
料理をしやすくする。
その人の日常に合わせて選ぶことが大切なのです。
すると三浦さんが一言。
「見えると見やすいは違うからね」
今回の記事タイトルは、この言葉からいただきました。
遠くまではっきり見えることだけが、いいメガネではありません。
その人の暮らしに合っているかどうか。
そこにこそ、本当に大切な価値があるのだと感じました。

△取材中なのに、つい足を止めて見入ってしまったディスプレイ。危険です。気付くと自分に似合う一本を探し始めています
まちのメガネ屋さんだからできること
現在では、手軽にメガネを作れるお店も増えました。
実際に利用したことがある方も多いと思います。
もちろん、それぞれに良さがあります。
そんな中で、メガネの三浦ならではの強みはどこにあるのでしょうか。
三浦さんは、
「やっぱり時間のかけ方じゃないですかね」
と話します。
単焦点レンズの場合は比較的短時間で対応できますが、遠近両用や中近両用の場合は、生活スタイルを聞きながらじっくり時間をかけるそうです。
さらに購入後もサポートを重視しています。
掛け心地の調整や相談など、長く快適に使ってもらうための対応も欠かせません。
特に重要なのが、納品時のフィッティング。
鼻や耳に合わせたわずかな調整によって、メガネの掛け心地は大きく変わるそうです。
売って終わりではない。
その後もお客様の生活に寄り添っていく。
それが、地域に根付いたメガネ屋さんだからこそできることなのかもしれません。

△メガネ選びからフィッティングまで行うカウンター。お客様の話をじっくり聞く、三浦さんこだわりの場所です
森下とともに歩んできた歴史
話は自然と森下のまちのことへ。
商店街活動にも長く関わってきた三浦さん。
昔の森下は、本屋さん、果物屋さん、洋服屋さん、おもちゃ屋さんなど、生活に必要なものが揃う場所だったそうです。
時代とともにまちの景色は変わり、地下鉄の整備によって人の流れも変化しました。
便利になった一方で、昔ながらのお店が少なくなった部分もあります。
それでも三浦さんは、「地域のためになることは続けたい」と話します。
お客様との関係も、地域とのつながりも、長い時間をかけて築かれていくもの。
50年以上続いてきた理由は、メガネを通じた人とのつながりを大切にしてきたからなのだと思います。

△視力測定に使用する検査スペース。取材中、私も実際に測定していただき、改めて目の状態を見直すきっかけになりました

△高度管理医療機器等販売業・貸与業許可証。メガネだけでなく、コンタクトレンズの取り扱いにも対応しています
変わっても、変わらないもの
リニューアルによって店内は明るく生まれ変わりました。
メガネの種類も増え、スマートフォンやパソコンの普及によって、お客様の目の使い方も大きく変化しています。
森下のまちの風景も、三浦さんがお店を始めた頃とはずいぶん変わりました。
それでも変わらないものがあります。
それは、お客様一人ひとりの話に耳を傾けること。
その人がどんな毎日を過ごし、何に困り、どんな場面でメガネを必要としているかを知ることです。
取材中、三浦さんは何度も、「まずは話を聞くことが大事だから」と話していました。
だからこそ三浦さんが作るのは、ただ遠くがよく見えるメガネではありません。
仕事がしやすい。
本が読みやすい。
散歩が楽しくなる。
その人の暮らしに寄り添う、「見やすいメガネ」です。
店内は新しくなりました。
でも、一本一本のメガネに込める想いは、これからも変わらないのだと感じました。

<編集後記>
今回の再取材は、店舗リニューアルのお話を伺うことが目的でした。
しかし、気付けば話題は森下の昔話、地下鉄の話、私の地元の話、さらにはボールペン収集の話まで。
途中からは奥様も加わってくださり、初対面とは思えないほど自然に会話が広がっていきました。
それでも不思議なことに、最後は必ずメガネの話に戻ってくるんです。
取材中には私自身の目についても話題になり、「そのコンタクト、乾きやすくない?」
「今の度数はどうなの?」と、いつの間にか軽い相談会に。
もちろん取材です。
取材だったはずです。
帰り道には、自分の目のことをこんなに真剣に考えたのは久しぶりかもしれないなと思っていました。
今回お話を伺って感じたのは、三浦さんの「聞く力」です。
メガネのことだけではなく、相手の暮らしや趣味、仕事のことまで自然と会話を広げていく。
だからこそ、お客様一人ひとりに合った提案ができるのだと思います。
長く通うお客様が多い理由は、技術だけではなく、「この人に相談したい」と思わせる三浦さんの人柄にもあるのではないでしょうか。

△取材後に三浦さんと記念撮影。取材のほか、私のメガネからコンタクトまで、たくさんの相談に乗っていただきありがとうございました
※2026年7月取材時の情報です。料金や営業時間などが変更になる場合がございます。詳細は必ず店舗にてご確認ください。
※記事中の金額は全て税込みの価格です。