肉の和喜多 再訪記
公開日:2026年10月28日
※今回は再取材を実施し、前回掲載後の新たな取り組みや変更点を中心にご紹介します。
※取材時点の営業時間、料金から変更している可能性があります。最新の情報はお店にお問い合わせください。
変わる街、変わらない想い。地域に寄り添う町のお肉屋さん
大島の住宅街を歩いていると、ふと昔ながらのお店に出会うことがあります。
今回再び訪れたのは、創業から50年以上続く精肉店「肉の和喜多」。以前取材した際には、国産銘柄肉へのこだわりや、お肉屋さんならではのお惣菜の魅力を紹介しました。
あれから数年。
物価高騰や生活スタイルの変化、地域の風景の移り変わりの中で、お店は今どう変わったのか。そして何が変わらず残っているのか。脇田さんにお話を伺いました。
変わったこと。まずは営業時間とお休みの日
今回お店を訪れて最初に聞いたのは、営業体制についてでした。
現在の定休日は日曜日と月曜日。
以前は祝日も休業日でしたが、現在は日曜・月曜以外の祝日は営業しているそうです。
営業時間も変更になり、
9:30~19:00
となっています。
「日曜と月曜だけお休み、という感じですね」と脇田さん。
地域のお客さんにとっては、意外と重要な情報。
「最近行ってなかったな」という方は、ぜひ覚えておきたいポイントです。
ただし、変わったのは営業時間だけではありません。
ショーケースの中身にも大きな変化がありました。
以前は牛肉も扱っていましたが、現在は
国産銘柄豚と国産銘柄鶏を中心とした品揃え
へとシフト。
「今は豚と鶏がメインです」
お話を聞きながらショーケースを眺めていると、“何でもあるお店”というより、“本当におすすめしたいものを並べるお店”になったのだなと感じました。

△地域の食卓を支えてきた「肉の和喜多」。店内には国産銘柄肉や手づくりのお惣菜が並びます


△国産の銘柄豚を中心に、厳選したお肉が並ぶショーケース
見えないところにある、おいしさへのこだわり
今回の取材で個人的に一番印象的だったのは、揚げ物の話でした。
和喜多では現在、フライ商品をすべて
国産キャノーラ油
で揚げています。
ラードを使うお店も多い中、なぜキャノーラ油なのか。
「テイクアウトして、いつ食べるかわからないでしょう?」
脇田さんはそう言います。
揚げたてだけならラードも魅力的。
しかし時間が経ったときの香りや油の軽さを考えると、キャノーラ油の方がお客さんにとって食べやすいそうです。
揚げ物は「揚げた瞬間」だけではありません。
家に持ち帰り、家族で食卓を囲む時間まで含めて商品なのだと感じました。
こうした見えない気遣いが、長年地域から愛される理由なのかもしれません。

△人気のコロッケやメンチカツを手に、お惣菜へのこだわりを語る脇田さん
人気商品はやっぱりこれだった!
では現在、一番人気の商品は何なのでしょう。
答えは予想通りでもあり、納得でもありました。
コロッケ、メンチカツ、そして自家製手ごねハンバーグ。
どれも昔からお肉屋さんのお惣菜として愛されている商品です。
特にハンバーグは専用肉を仕入れているわけではありません。
店頭に並ぶ銘柄豚を整形する際に出る部位や、無駄なく活用できる部分を丁寧に使っています。
つまり、お店で扱う肉そのもののおいしさが詰まったハンバーグ。
人気なのも納得です。
また自家製焼豚も健在。
隔週土曜日に販売され、年末には一本売りだけで100本ほど売れるのだとか。
「毎年予約している」
そんな常連さんの顔が思い浮かぶようなエピソードでした。

△丁寧に焼き上げられた、食欲をそそる自家製焼豚

△店内に掲げられたお惣菜のメニュー。電話で注文して、できたてを受け取ることもできます

△店内に掲示された焼豚の販売案内。隔週土曜日に販売しています
商店街が消えても、お客さんとの距離は変わらない
取材中、話題はこの地域の昔話へ。
今では住宅が目立つこの通りも、以前は八百屋さんやパン屋さん、魚屋さんなどが並ぶ、にぎやかな通りだったそうです。
「昔は商店街だったんですよ」
と脇田さん。
しかし時代とともに街の姿は変わりました。
コンビニができ、スーパーができ、大型店が増えていく。
昔ながらのお店は少しずつ姿を消していきました。
「悲しいけれど、しょうがないですね」
脇田さんはそう話します。
それでも印象的だったのは、その後に続いた言葉でした。
「新しく知ってくれた方が来てくれるんです」
古くからの常連さんに加え、記事や口コミをきっかけに訪れる新しいお客さんもいるそうです。
街の姿は変わっても、人とのつながりは今も変わらず続いていました。

△住宅街の一角で長年営業を続ける「肉の和喜多」。地域の食卓を支えています
必要な分だけを買える。それが専門店の価値
スーパーではパック販売が一般的です。
けれど和喜多は違います。
生姜焼き用。
とんかつ用。
すき焼き用。
焼肉用。
用途に合わせてカットしてくれる。
さらに、
「2枚だけ欲しい」
「100グラム以下でいい」
そんな要望にも対応してくれます。
実際、一人暮らしの方や高齢者のお客さんからは、
「炊き込みご飯用に鶏肉を少しだけ」
という注文もあるそうです。
必要な分だけを買う。
必要な分だけを作る。
そんな考え方が、食品ロスを減らす取り組みにもつながっています。
また、お惣菜も基本は注文を受けてから調理。
電話予約が多い理由もここにあります。
余計に作らず、できたてを届ける。
シンプルですが、とても理にかなっています。

△「食品ロスをなくそう」と掲げられた店内の貼り紙。必要な分だけを作ることで、無駄を減らす工夫をしています
変わる街で、変わらないお店
お肉を買いに来る人。夕飯のおかずを買いに来る人。
それぞれの暮らしに合わせて必要な商品を届ける。
昔からの常連さんも、最近このお店を知った人も。
肉の和喜多は、今日も変わらずこの街の食卓を支えています。
時代とともに街の姿は変わっても、地域に寄り添うお店の温かさは変わらない。そう感じた再取材でした。

△「いらっしゃいませ!Welcome!」の文字とともに、お客さんを迎える店内のウェルカムボード

△店先で通りを行き交う人を迎える、「肉の和喜多」の置き型看板
取材後記
今回の再取材では、お肉の話はもちろん、揚げ物の油の話や冷凍保存のコツまで、気付けば話がどんどん広がっていました。
取材をしながら改めて感じたのは、町のお肉屋さんだからこそできる細やかな対応です。
「生姜焼き用」「とんかつ用」と用途に合わせてカットしてもらえること。必要な分だけ購入できること。そして注文を受けてから揚げるお惣菜があること。スーパーではなかなか味わえない魅力が、肉の和喜多にはありました。
実は取材の最後、せっかくなのでお肉を買って帰ろうと思ったのですが、脇田さんに自宅までの距離を聞かれました。
私が少し遠方から来ていることを伝えると、
「今日は暑いですし、あまりおすすめできないですね」
とのこと。
正直なところ、少し驚きました。
おそらく脇田さんは、お肉の状態や持ち帰るまでの時間を気にかけてくださったのだと思います。
取材を通して感じたのは、「売ること」よりも「おいしく食べてもらうこと」を大切にしているということ。
そんな誠実な姿勢が、長年地域の人たちから信頼されている理由なのかもしれません。
次こそはしっかり保冷バッグを持って伺いたいと思います。

△今回の再取材でお話を伺った脇田さんと。お忙しい中、ありがとうございました
※2026年7月取材時の情報です。料金や営業時間などが変更になる場合がございます。
詳細は必ず店舗にてご確認ください。
※記事中の金額は全て税込みの価格です。