江東GROOVE~ことみせみらい会議~【VOL.2】

公開日:2024年1月19日

*GROOVE(グルーヴ)とは音楽用語のひとつ。ジャズなどの音楽のリズムやビートを感じて気持ちが昂る波・うねりの感覚や高揚感を表す。

 


ことみせ登録店の若手オーナー達が事業活性化に向けて話し合う「みらい会議」の第2回。

前回会議から生まれたイベント「ことみせフェス」に続く新たなアイデアは…?

<収録:2023年11月9日>


みらい会議

 

みらい会議 海野 由香里さん
Modern liquor(モダンリカー)【木場】
化学肥料、農薬等を使わず、ブドウ本来の味わいを楽しめるナチュラルワイン専門店のオーナーソムリエ

 

みらい会議  宗 美希さん
こちる(cochill juice)【亀戸】
産地にこだわった無添加フルーツジュース専門店のオーナー。キッチンカーでイベント出店も行っている

 

みらい会議 永井 拓朗さん

焼肉なが井(ヤキニクナガイ) 【門前仲町】

以前は三重県鈴鹿市の大衆焼肉屋「焼肉やよい」の麻布十番店店主。門前仲町の雰囲気に魅せられ、2021年5月に開業

 

みらい会議  望月 克さん
Osteria Chivo(オステリア キーヴォ)【南砂町】
旨味が凝縮されたアンチエイジングビーフと、モレッティの生ビールが評判のイタリアン オーナーシェフ

 

<ファシリテーター>
河西 由華子
ことみせ事務局
街づくりや活性化などを専門とする(株)URリンケージに所属し、ことみせ事務局として活動

 

みらい会議


ことみせフェスVol.1で得た

成果と課題とは

 

河西 本日はお忙しいところ集まりいただき、ありがとうございます。ことみせ事業やことみせ登録店の在り方、ひいては江東区の活性化などを率直に語り合っていただいた、2023年6月1日の「江東GROOVE~ことみせみらい会議~Vol.1」では、屋外イベント「ことみせフェス」のアイデアが生まれ、皆様のご協力のおかげで、10月8日に北砂五丁目団地商店街広場で、しっかりと実現することができました。改めて御礼申し上げます。本日のみらい会議Vol.2では、まず、ことみせフェスの振り返りから始めましょうか。良かった点、悪かった点、課題などを教えてください。

 

みらい会議

望月 全時間帯いられなかったのですが、店舗がきゅっとコンパクトに並んでいて距離感が近かったですね。焼肉なが井さんから漂っていた、食欲をそそるにおいが忘れられません(笑)。反省点としては、カテゴリの違う店舗をお客様に自然にめぐってもらうような動線が築ければ良かっただろうなと。もちろんお客様の好みやタイミングなどもあると思いますが、お客様が買う店・買わない店が分かれたかもしれません。

 

河西 確かに「食べながら・飲みながら」のマリアージュまではいかなかったかもしれませんね。

 

みらい会議

 イベントは広報が重要ですが、私はフェスの前、ウチの店舗に貼り紙したり、SNSで発信したり、できるだけ事前告知をしたので店舗のお客様がかなり来てくれました。ウチのお客様だから好みを知っているので、それに寄せた他店舗のお薦めもできました。

 

望月 たくさんお客様がいらしてくださったのは、宗さんの人柄も大きいですよね!

 

 ありがとうございます。亀戸と北砂が近いので、それでウチのお客様は来ていただきやすかったのもあると思います。焼肉なが井さんの商品が早々に売り切れたので、今度、門仲の本店に行ってみようかなっていう人もいました。

 

河西 海野さんもSNSで、ことみせフェスの事前告知、「そろそろやるよ!」とカウントダウンみたいなかんじで告知していただきました。ありがとうございました。

 

みらい会議

海野 ことみせフェスのような屋外イベントには初めて参加したので、良い経験になりました。価格帯がちょっと高めだったみたいでしたが、それでもグラスよりボトルのほうが売れました。フェス会場の北砂五丁目団地敷地内の公園は小さいお子さん連れが多かったので、アルコールを飲む雰囲気は薄かったかもしれませんね。

 

河西 場所柄もありますが、時間帯も関係しました。ランチ時だったのでアルコールを飲むよりも、まずはランチを調達しようと考えるお客様が多かった印象です。イートインスペースを設けていましたが、多くの人がテイクアウトで家に持って帰っていかれましたね。

 

望月 確かに「持ち帰りできますか?」はひんぱんに聞かれました。容器をあまり用意していなかったので、仕方なくテイクアウトをお断りした方もいて申し訳なかったです。

 

 ウチの場合は、家族4人分のフレッシュジュースを一度に持ち帰りたい、みたいな方も結構いたのですが、何とか対応できました。

 

河西 マーケティング的な観点から言えば、北砂は住宅街なのでテイクアウト需要が多かったと思います。ただ、その一方で皆さんの提供する商品のクオリティが高いものだったので、すべての客層とはマッチしなかったかもしれません。個人的には海野さんのモダンリカーさんの素敵なしつらえが印象的でした。

 

海野 棚を用意していただいたので、200本持ち込んだのですが、搬入はわりとラクでしたよ。

 

みらい会議

 

全員 200本!

 

海野 そのくらいは数をそろえないと、見た目が結構スカスカになってしまうんです。「映える」ことは大切ですし、モダンリカーの広告のつもりでそろえました。

 

 

事務局のサポートで

低負荷のフェス出店に

 

河西 あのフェスにいらしたお客様が、その後、お店に足を運んでくれた、というパターンはありました?

 

望月 残念ながら、それはなかったかな。

 

 紙を活用した掲示での告知がすこし遅かったことが要因かもしれないですね。SNSで情報を得る人は増えていますが、一方で紙、ポスター、チラシを頼りにする人も多い実感がある。チラシをスマホで撮影する方もよく見かけますしね。団地内の戸別配布、近隣の店舗にポスターを貼るなどの努力は必要だったかも。ウチはお客様に協力いただいて30店舗以上に貼っていただき、それを見て今日のことみせフェスに来たよ、という人もいました。フェス会場になった北砂五丁目団地や近くの砂町銀座商店街にあることみせ登録店に貼っていただきました。ことみせのフェスなので協力をお願いしたんです。

 

みらい会議

 

河西 ポスター貼付に協力いただいた登録店さんのなかには、「#ことみせフェス」と記して自らSNSで拡散してくれた方もいました。フェス終了後、北砂五丁目団地の住民の方からも、またぜひ実施してくださいとの声をいただきました。出店者にとっては、イベントは実店舗とイベントの双方での営業は負担が大きいという声も聞かれますが、今回のフェス参加にあたっては通常の店舗での営業に支障をきたすようなことはなかったですか?

 

みらい会議

永井 今回は、冷蔵・冷凍ストッカー、長椅子など、本来なら自前で用意すべきものをすべて十分過ぎるくらいご用意いただいたので、負担は感じませんでしたよ。ものすごくやりやすかったです。車が店舗設置場所のすぐ近くまで入れたのも助かりましたし。

 

海野 さっき200本搬入で皆さん驚かれていましたが、ウチもそれほどの負担ではなかったですよ。ただ、今の永井さんの話で分かったのですが、ことみせフェスはかなり“お膳立て”をしてくださってたんですね。あれが業界のスタンダードではないことを理解しました(笑)。

 

 ウチは自前のキッチンカーで参加したので、やはり負担は特になかったです。ほかの皆さんの店舗のテントのデザインが統一されていて、一体感があって良かったですよね。

 

河西 海野さん、今回のフェス出店にあたり、アルコール販売する旨を税務署に事前申請しなければならなかったわけですが、ご負担ではなかったですか?

 

みらい会議

海野 いえ、意外と大丈夫でした。酒販免許の手続きは以前にも経験ありましたし。ただ、申請は一度ではなく、フェス、イベントなどに参加する度、その都度しなくてはならないのはちょっと面倒ですね。

 

望月 フェスと実店舗、双方の仕込みをしなければならなかったのはすこし大変でした。あと、保健所の指導で、出店先で包丁を使えないのはやりづらかった。なので、お店であらかじめすべて切っておき、それを持ち込まなければなりませんでした。自分のイメージでは、フェスではローストポークとか生ハムなどをお客様の目の前でカットしてライブ感を出し、それを提供したかったのですが…。

 

河西 今回のフェスは「臨時出店」だったので、まだ出店条件は比較的ゆるいほうだったんです。臨時出店でなければ「営業許可」を取得せねばならず、そうなると保健所の直接チェックが入り、かなりハードルが上がります。手続きの費用も数万円必要ですしね。

 

望月 キッチンカーは包丁OKですか?

 

 いえいえ条件は同じで、私も持ち込んでいません。切る必要があるものはすべてお店で仕込んでおいてキッチンカーに積んでおきました。もしこういうフェスが連日となると、かなり負荷は上がりますね。

 

河西 今後のフェスの方向性についてはどうでしょう。今回のような参加店数の規模感で、いろいろな場所で頻繁に展開するか、あるいは参加店数を増やして1回当たりのフェスをスケールアップするか。

 

みらい会議

 

 いろんな場所で展開したほうが良いと思います。江東区は南北に長く、内陸と湾岸部では環境や住人層などがかなり変わりますから、1ヵ所ではなく、あちこちで開催したほうが、ことみせの周知を促すことができそうです。また、飲食以外の物販、ワークショップとかも参加できると良いのでは。お客様の滞留時間が延び、人が溜まることで場の盛り上がりにもつながりますからね。

 

望月 毎回変わる開催エリアに近い場所の登録店が参加するのが自然かと。開催回数を重ねるごとに、ことみせフェス参加経験のある登録店が増えていきますね。

 

河西 そうですね。運営の面ではどうでしょう。

 

 みらい会議Vol.1参加店を中心とした「スモールスタート」は、やはり適切だったと感じました。今後は、前回のフェスで得た保健所や税務署対応などの知見を、ことみせフェスの推進役的にVol.2以降に出店する店舗さんへ提供していければと思います。

 

みらい会議

 

 

お客様の回遊性を向上させる

スタンプラリーに必要なものは

 

河西 ここで次のテーマに移りましょうか。前回会議で海野さんが御朱印帳のワイン版「御朱Vin(ごしゅヴァン)帖」の話をしてくれました。ほぼスタンプラリーと同様の仕組みで、これも、ことみせ登録店間の連携を強めたり、お客様の回遊性を高めたりするのに有効な手段だねという話でまとまりました。改めてどう考えますか。

 

 スタンプラリーはなじみがある人が多いし、参加率も高い。やってみたいという思いはあります。ただ、インセンティブをどうするかが課題ですよね。ことみせらしさを感じさせる何かをインセンティブにできないでしょうか。海野さん、「御朱Vin帖」は何か付いているんでしたっけ。

 

海野 コンプリートしたら何か粗品はもらえるみたいです。ただ、何かをもらうというよりは全店巡った達成感を求めるお客様が多いと思います。ハンコが違っていたり、コメントが書かれていたりして、お店の個性も感じられます。

 

望月 要するに「呑兵衛システム」?

 

海野 分かりやすく言えばそうですね(笑)。アナログの遊びというか。1ぺージに対してひとつの店舗がスタンプを押したり、コメントを書いたり。

 

 その手帳はお金を出して購入するもの?

 

海野 そうです。

 

 それは良いですね。手帳購入費を原資に充てられれば店舗の負担を減らすことができるし、手帳のオリジナリティを出せば、持っていることの特別感も実感できそう。

 

みらい会議

 

望月 そのスタンプはオリジナルで、コメントもお店が自由に書いている? 海野さんは御朱Vin帖を持ってきた方に対して、どのように対応しているんですか。

 

海野 気の利いたコメントはちょっと自信がないので…オリジナルのスタンプをつくりました(笑)。いっそ『ことみせ』にスタンプラリーのページをつくってもらいますか。

 

河西 いろんな業種の情報が載っている『ことみせ』そのものをスタンプラリー帳にすれば、飲食に限らず物販とかサービスとか、幅広い業種を巻き込みやすくなるかも。特にファンが多い“肉業界”は、スタンプラリーとの親和性は高そうじゃないですか。

 

永井 いや、特にスタンプラリー制を店に取り入れたことはないんですけど…ほかの業種の店舗と一緒になって取り組むのは興味ありますね。

 

望月 御朱Vin帖は、アルコールを楽しみたい、あるいはアルコールとともに食事を楽しみたい人とターゲットが明確なので盛り上がりやすいと思うんですが、ことみせのスタンプラリーは飲食、物販、サービスとさまざまな業種があるため、興味や価値観が分かれてしまい、継続性が薄くなるかもしれません。

 

 お客様の“コンプリート欲”を満たすためのアイデアが必要ですね。いくつかのエリアに分けて、あるひとつのエリアのスタンプをすべて集めたら次のステージに進めるとか、業種、業態をカテゴリに分けてそのカテゴリのスタンプを集めたらOKとか。あるいは業種・業態問わず、任意の3店舗をコンプリートしたら次のチャレンジレベルにステータスが上がるとか、工夫してゲーム性を持たせてはどうでしょう。ウチではこちるオリジナルのシンプルなスタンプカードをやっていて、5枚貯まったらこのランク、10枚貯まったらこのランクとランク分けして、10枚コンプリートして初めてもらえる特別なカードなんかを用意しています。

 

みらい会議

 

 

安心の店主紹介で

登録店を“数珠つなぎ”

 

河西 なるほど。ゲーム性を持たせて継続意欲を高める工夫は確かに必要ですね。継続といえば、話はすこし変わりますが、私は個人的に自分が通っている店の店主さんがお薦めのお店に行くのが好きで、その方法で良店を開拓しています。一定のクオリティを保っていて、自分が常連である店の店主が言うのだから安心感があるし、新たな店舗を開拓できる楽しみもありますし。

 

望月 そうした“紹介制”も良いですね。例えば各店舗で3店舗紹介する仕組みとか。あらかじめ秘密の合言葉を店舗間で決めておき、お客さまが紹介された店に行ったとき、その合言葉を伝える。すると店側は「あの店舗から紹介されてきたんだ」とすぐ理解できますよね。単純に料理を出すだけでなく「紹介で来て下さったんですね」と挨拶したりして、よりお客様との距離を縮めることができます。

 

みらい会議

永井 紹介制は店舗同士のつながりが深まりそうで賛成です。以前、有明で大規模なイベントがあり、深川地区から飲食、物販など多業種約50店舗が参加し、ウチもそこに加わっていました。その時に結構ヨコのつながりができたんですよね。同じ深川地区内でも営業時間が被っているために、それまで店舗間の付き合いはあまりなかったので、とても良い機会になりました。ですので、ことみせ登録店間で紹介の仕組みが導入されるのは賛成です。

 

 『ことみせ』の誌面をつかって、ある飲食店の店主さんが「私のお薦めはこの店!」と1店舗フィーチャーし、それをリレー形式でつないでいくのはどうでしょう。

 

河西 なるほど。ただ、『ことみせ』は隔月誌で発行のスパンが2ヵ月に一回なので、情報リレーの速報性に欠けそうです。WEBのほうが向いていそうですね。

 

 SNS発信ならよりスピード感が出ますね。

 

望月 そのSNSなんですが、宗さんや海野さん、使い方が上手ですよね。「ハッシュタグで何とか…」とか。実は僕、その辺が苦手で…(笑)。

 

みらい会議

 あ、SNS発信を各店に任せると、店舗側の負担が増えると思うので、私はことみせ事務局からのSNS発信を提案したいです。フォーマットをつくり、各店舗に必要な情報を埋めてもらって、それを店舗間でリレーする。そして定期的に事務局から発信してもらう。そういうスキームができれば店舗の負担は減ると思います。例えば私がオステリア・キーヴォさんをお薦めするとなった場合、気に入っている料理の写真1枚と、おすすめポイントやメニューなどを事務局に送り、事務局はWEBのURLと固定のハッシュタグを付けて発信していただく。お薦めされた店舗は、また別の店舗を推薦し、同様に料理の写真1枚、おすすめポイントやメニューなどを事務局に送る。それを繰り返してどんどん店舗を数珠繋ぎにしていくイメージです。そんな感じにすればSNSを特にやっていない店舗でも参加できるんじゃないかな。お客様が検索しやすくなるように、他では使われていない別のハッシュタグを付けると、より利便性が高まりそうです。また、お客様だけでなく私たち店主側もプライベートで食事とかする場合に利用できますし。「そういえば『焼肉なが井』さんが薦めていたあの店舗に行ってみようかな」と思った時、SNSからタグって所在地を調べて手軽に行けますからね。

 

河西 ことみせ事務局発信のSNSは良さそうですね。お客様にとって便利なのはもちろん、店舗間のつながり、回遊性も高められそうです。

 

 原資もほぼかかりませんしね。

 

望月 お客様が、店主の紹介リレーを活用してその推薦店に行っていただいた場合、それがフィードバックされるような仕組みがあると良いですね。我々が「あ、自分が推薦したお店に行ってくれたんだ!」と気づけるような。

 

 確かにそれは分かったほうが良いですね。ではお客様には「#ことみせリレー」を付けてつぶやいてね、などと周知すれば良いのでは。

 

望月 なるほど。それなら推薦した立場としても嬉しいです。

 

みらい会議

 

 

パフォーマンス×料理で

新たなコラボのスタイルを

 

河西 前回の未来会議では「一人や、ひとつの店舗ではなかなかできないけれど、複数の店舗が集まって知見を共有すればできることの範囲が広がる」というコンセンサスが生まれ、2023年10月8日の「ことみせフェス」につながったわけです。永井さんは第1回会議には参加していませんが、フェスには参加されました。10月8日のフェスや本日の会議を通じて、何かお気づきになったことや、この先やってみたいことはありますか。

 

 “肉フェス”とか? もしくはジャンルの違う飲食店さんとのコラボメニューとか。

 

永井 焼き鳥、豚、牛といろんな肉を取り扱っている店舗があるので、コラボできそうですね。

 

望月 個人的な妄想なのですが、海野さんのモダンリカーさんとウチは相性が良いなと思っています。実際、何度となくナチュラルワインを購入して、お店で出してますしね。で、モダンリカーさんとコラボしたいことがひとつあるんですよ。

 

海野 どんな内容でしょう。

 

みらい会議

望月 その日、ウチの店をお客様10名くらいの貸し切りとして、海野さんに10本くらいお薦めのナチュラルワインを持って来ていただくんです。で、30分くらい海野さんに1本1本のナチュラルワインの特徴、魅力などを語っていただく。終了後、ウチの料理とペアリングしてワインと食事を楽しんでもらうんです。海野さんのセミナー+ワイン、ウチの料理代を込みにした料金設定のコラボイベントという感じでできないかと。あるいは、別の店舗さんに余分なスジや脂を取り除く“肉磨き”をウチの店で実演していただいて、肉磨き後にカットした肉を材料に使った料理をつくって提供するとか。コラボっていうと「共同開発したメニュー」になるパターンが多いと思うのですが、レクチャーやパフォーマンスと料理の組み合わせも面白いんじゃないかと思っていたんです。

 

海野 確かにお客様の中には、おいしい料理に舌鼓を打つだけでなく、それぞれの料理の背景や材料の特性にも触れて、それを知ったうえで味わいたいと考える方もいますからね。

 

みらい会議

河西 今日の第2回みらい会議では、ことみせ登録店のつながり、さらなる活性化のためのアイデアとして、既に行ったフェス以外の方法を探ることをひとつのテーマとしていました。ですので、今お話いただいた食事だけではない店舗コラボや、その前のスタンプラリー、事務局発信のSNSによることみせ店舗紹介リレーなど、良い話がたくさん出てきたと思います。あとは前回のみらい会議の際にも話題になった、ビジネスマッチング関連にも触れていいでしょうか。ことみせ登録店が1000店を超えまして、例えば「こういう食材が欲しいのだけど、ほかのことみせ登録店から仕入れ先情報をいただいたりすることはできないでしょうか?」といった声をいただくこともあって、何らかの仕組みがつくれないかと。

 

望月 なるほど。しかし1000店すべてをつなぐのって難しそうですね。前回会議で話しましたが、やはりサイト上に掲示板か何かをつくって、そこに問い合わせしてもらい、どこかの店舗さんから回答をいただくとか。

 

河西 各店舗の得意分野や主に取り扱っている商品、ノウハウなどを簡潔にまとめたデータベースをつくり、何らかの情報が欲しい店舗さんはそのデータベースを検索して解決策を入手する、でもいいかもしれません。さっきの店舗紹介リレーの際、「各店舗の得意分野、主要商品、蓄積しているノウハウ」などの情報を書き込む欄をつくり、その情報もデータベースに反映すると良さそうですね。

 

みらい会議

 

 

オープンチャット活用で

お役立ち知識を共有

 

望月 LINEのグループって1000人くらいまでは登録できるんでしたっけ。

 

 できるかもしれないけど、でもさすがに1000は多過ぎるかな。オープンチャットのほうが良いのでは?

 

望月 なるほど。そこで項目分けできると、困り事別に整理して情報にたどりつきやすくなるかな。例えば「人手不足」「食材探し」「メニュー開発」「仕入れ先探し」「テイクアウト用の安いカップはどこで売っているか」「イベント開催の必要経費見積もり」などなど。

 

 メールでのやりとりだとすべてを開封してもらえるか分からない。かといってサイトをつくってもそこに見に行ってもらうための動線づくりが手間になるかもしれません。となると、オープンチャットが適切かな。

 

河西 そうですね。当初はチャットしている店舗は少なくても、やりとりされている内容が有益なものであれば、少しずつそのチャットに参加して情報を得ようとする店舗さんは増えていくのではないでしょうか。一方的な投稿ばかりだと引かれてしまう可能性がありますが、店舗間で対等に意見交換されている場なら「ウチが入っても大丈夫そう」と判断してもらえそうです。

 

みらい会議

永井 ウチの場合、何か困り事が起きた時は、これまで“おおもと”に打診するのが常でした。例えばどうしても使いたい醤油があったらメーカーに聞く、肉のバラシ方で疑問が出たら卸業者に問い合わせてみる、といった感じです。しかし、日々お客様に直に接している店舗とは、情報の内容が微妙に違いますね。ですから、ことみせ登録店同士のオープンチャットで「ウチはこうしている」といった話を聞けるのは、とても助かると思います。ちなみに以前、YouTubeである飲食店が投稿していた「厨房のスムーズな動線とは」的な内容の動画を視聴して、参考にしてみたら本当に改善されたケースもあって。リアルに店舗運営している方の経験談はタメになることを実感しました。ともあれ、そういう話をことみせのオープンチャットでざっくばらんにできればうれしいです。もちろんウチが一方的にいただくだけでなく、当店の情報が役立つならほかの焼肉屋さんにシェアするのも全然アリですよ。

 

 話はすこし変わるんですが、先日強い風が吹いた日、ウチの店頭に置いていたプラスチック製のソフトクリームの置物のクリーム部分だけが外れて、どこかに飛んでいってしまったんですね。そこで私が「ウチのソフトクリームの上半分が飛ばされてなくなってしまった~!」とつぶやいたら、何と6万ものインプレッションがあって(笑)。「あそこの通りで転がっているのを見た」「わたしも見たけど、急いでいたから拾えなかった」「いま、私が近くにいたから捕獲しました!」といったやりとりが続き、最終的に私の手元に戻ってきて、無事ソフトクリームの置物が元通りになった、というエピソードがあったんです。望月さんのところも、万が一生ハムが盗まれたらつぶやいてください(笑)。

 

河西 それはすごい話。つぶやける場があったからこその“回収劇”でしたね。同じように、多くのことみせ登録店が参加するオープンチャットのような場があれば、共助や情報交換はしやすいはずです。

 

望月 強風で扉が壊れた、トイレが詰まっちゃったなど、シリアスなトラブルは専門業者に依頼して修繕してもらうしかないけど、業務にはさほど支障がない範囲で、プロにお金を払って修理してもらうほどではないトラブルなら、チャットで他の店舗さんに相談してみるのが良いかもしれませんね。

 

みらい会議

 

 

予期せぬ嬉しい出会いに期待

「ことみせリレー」実現へ!

 

河西 ところでもしオープンチャットが開設されたら、ぜひ海野さんにお聞きしたいことがあります。弊社の別の事業でみかんや柑橘類等を販売する機会があるのですが、おいしさを伝えるための説明文、キャッチコピーづくりに四苦八苦しているんです。基本的な産地情報や、甘い、酸っぱい、酸味と甘みのバランスが〇〇だ、何と何の品種を組み合わせて作った…などしかバリエーションがなくて、行き詰まることが多い。その点、海野さんはお店に置いているワインのほぼすべてに参考になる情報が書かれたラベルを付けられていて、商品説明のボキャブラリーが豊かだと思うんです。何かコツみたいなものがあれば、いずれチャットで教えてほしいなと。

 

みらい会議

海野 ありがとうございます。私も結構必死に考えていますよ。例えばそうですね…赤ワインでも赤っぽいとか黒っぽいとか、そこから赤果実のさくらんぼとかいちごとか当てはめていってまとめるとか…あとは飲んだ時に舌が感じたことを素直に書くこともあります。

 

望月 ウチも店でワインを扱っているし、個人的にも好きなので、どこか食事に行った際、お店の方に説明されたワインのおいしさの表現を頭の中にメモったりしていますね。なるほど、こういう言い回しがあるのかとか、こういう風に説明するとお客様に具体的にイメージしてもらいやすいんだなーとか。海野さんのワインのおいしさ表現セミナー、アリですよ。

 

 言葉の組み立て方を知りたいですね。基礎が分かれば、他の飲食店にも応用できそうです。「勉強会」として立ち上げても良いですね。

 

河西 永井さんがさっきおっしゃった「厨房の動線」も、知りたいと考える飲食店は多いと思います。永井さんも勉強会の講師としてお願いできれば。

 

永井 もちろんです。

 

みらい会議

 

河西 店舗間コミュニケーションが活性化すると、そのことを直接知らなくても、お客様はそこはかとなく「江東区にはアットホームな雰囲気の店が多いな…」という思いを持つんじゃないでしょうか。そうそう、望月さんがおっしゃった店舗コラボにはお客様も参加できますしね。ともあれ、ここまでのお話のなかでいろんなアイデアが出てきました。おさらいしてみると「ことみせフェスVol.2」「スタンプラリー」「登録店店主が他のお気に入り店を推薦することみせリレー」「オープンチャットの掲示板」「勉強会」「お客様を交えたリアルな店舗コラボ」といったところです。

 

望月 すっとカタチをつくることができて実現のハードルが低そうなのは「ことみせリレー」ですね。実現までの具体的なプロセスがイメージできました。

 

河西 そうですよね、やってみましょうか。

 

 ことみせフェスvol.2は、実施するとしても冬の間はないだろうから、来年5~6月くらいの開催を見越して、2024年になってからまた話し合いましょうか。フェスは年に3~4回の単発だから、フェスとフェスの間にことみせリレー、勉強会、オープンチャットなどは並行して動かせるんじゃないでしょうか。

 

河西 ことみせの中でいろいろな取り組みが徐々にカタチになって相乗効果を生み、登録店全店の盛り上がりにつながっていけば理想的ですよね。では、まず「ことみせリレー」から動き始めてみましょう。その際には皆さんにまたご協力いただくと思います。引き続き、よろしくお願い致します。

 

みらい会議

 

 

江東GROOVE~ことみせみらい会議~【VOL.1】

 

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