ジブリ映画に出てきそうなジュエリーショップ
公開日:2014年5月26日
伝統と粋の職人技
森下にある通称「のらくろ〜ド」と呼ばれる商店街。
ここに構えるジュエリーショップ jewelry sashouという店をご存じだろうか?
ただのジュエリーショップではない。
人との会話から「美しいもの」を生み出す職人が集っている。
1920年から看板を掲げ、
初代と2代目は、「江東区無形文化財金工」にも認定されている。
3代目を担うは、若きジュエリー職人 佐生真一さん
偉大な名工たちの背中を見つめながら腕を磨き、
新しいデザインを取り入れながら下町の「粋」を感じさせる仕上がりが多い。
一体、何から作品のインスピレーションを得るのだろうか?
その問いに「頭の中には常に作りたいもののイメージがあって、
それらを作る準備ができたときに、手が動き出し、
作品になってゆく・・という感じなんです」とのこと。
真一さんの中で思い描いていたイメージの、何かが腑に落ちた瞬間、
自然と身体が動いてしまうのだろう。
だから完成までに8年かかってしまったものもある、というのも納得。
引き継がれる心意気
仕事依頼はほとんどが、紹介や口コミからという。
特に結婚指輪は、綿密な打ち合わせの上、
その二人だけ意味のある、唯一のものを探り当て、デザインするというスタイル。
評判が評判を呼び、依頼が途切れることがないという。
例えば、こちらはあるご夫婦の指輪だが、
打ち合わせの中、花嫁さんが大切にしている言葉、というのが わかり
それを刻み入れることにしたそう。
飽きのこないシンプルな指輪なのに、
どこか和のぬくもりが感じられるのは、文字色に漆が使われているからだろう。
「“イメージ以上の仕上がり”と言われると職人冥利に尽きる。
ジュエリーが好きなのではなくて、“人”が好きなんですね。だからこの仕事が楽しい」
と真一さん。ちょっと照れながら、自信も感じられる。
さらにこちらでは、カップル自身に結婚指輪の地金を打たせるサービスも。
結婚式で、その様子をVTRで流したところ、
「自分たちもやりたい」と、遠方から訪れる人もいたとか。
職人が黙々と手を動かす空間。
まるでジブリ作品のワンシーンに迷い込んだような。
親方や職人がひっそりと目の前のものにただただ集中して・・・。
映画の中に出てくる親方たちは、時に厳しく、時に矢面に立ち
そして、最後には若手に道を示してくれていたのではなかったか。
2代目である明義さんも「これからはお前が表に立つんだから」と、
ご自身は後ろで黙々と作業を続け、最後までほとんど口をはさむことはなかった。
その姿を見ていて、なぜか胸が熱くなる。
「仕事をする上で大切にしていることは、取り繕わないこと。
自分が作る作品以上のことはできないので」という真一さんには、
しっかりと初代・2代目の心意気が引き継がれている。
私はこんな店で、一生身に着ける結婚指輪を作りたい。