居心地の良さと昔ながらの優しい味で愛されるおそば屋さん
公開日：2023年11月25日
※取材時点の料金から変更している可能性があります。最新の情報はお店にお問い合わせください。
丸八通り沿い、江東区随一といわれる砂町銀座商店街の入口の傍ら。多くの地元民の拠り所となっているおそば屋さんがある。創業70余年、親戚の先代から引き継いだ店主の飯島さんが営む三隆。
店内は、4人掛けのテーブル席が7つ。天井には太い梁が渡してあり、古民家を思わせる落ち着いた空間だ。なんでも先代が千葉から取り寄せた木材で、300年前の大工さんが書いた文字も残っているのだとか。
こだわりの食材を使用した自家製麺と出汁
「おそばは、北海道産のそば粉を使用した自家製麺で提供しているのですよ。それから、日高昆布と鰹節問屋マルサヤのかつおぶしを煮たてて、毎日出汁を取っています」と飯島さん。そんなこだわりの詰まったおそばのメニューは、定番の「もりそば」から「天カレー」という珍しい品まで20種類も揃う。
△天ざる 1,300円
三隆の人気メニューは、なんといっても「天ざる」。天ぷらの種類は、海老、白身魚、舞茸、ナス、オクラ、シシトウと6種類も贅沢に盛り付けられている。小皿の薬味をそばつゆに入れておそばを啜ると、そばの香りがほのかに口に広がり、ツルッとした喉越しが美味しい。天ぷらはサクサクでそばつゆと一緒にいただけば、口の中で旨味がジュワっと広がる。
△天カレー 1,100円
「天カレー」は、海老の天ぷらにカレーなんばんという珍しい組合わせでありながら、常連客から多くの支持を集める人気メニューだ。カレーが麺によく絡み口に含めれば、天ぷらのころもにしみ込んだコクのあるカレーと深みのある出汁の共鳴に、思わず笑みがこぼれてしまう。「海老の天ぷらとカレー！？」と思ったあなたは、ぜひ一度この天才的な逸品を堪能あれ。
△鍋焼きうどん 1,200円
こちらはこれからの季節にうってつけの一品。麺がしなやかで、喉越しが非常に良い。コシは強すぎることなく、絶妙な固さ。そして、出汁は昔ながらの優しい味で、啜るたびに体に沁みわたっていく。天ぷらやかまぼこで食感や味の変化を楽しみながら、ペロリと平らげてしまうだろう。鍋のようにシェアしながら食べるのもおすすめだ。
おそば屋さんなのにラーメンやチャーハンも？！
三隆ではそばやうどんを堪能できるほか、ラーメンやチャーハン、オムライス、かつ丼までも提供。メニュー表をみると、その数の多さに驚く人も多いはず。過去には厨房にあるラーメン用の大きな寸胴に、驚いた同業のお客様もいたのだとか。
飯島さんは「うちはそば屋なのですが、意外とラーメンを注文してくれるお客様も多いんです。中でも味噌ラーメンが人気ですね。味噌は江東区に住んでいる人なら誰もが知っていることみせ登録店の佐野みそから2種類を仕入れブレンドして使っています」と話す。
この佐野みそは、噌ムリエさんたちが試食して厳選した味噌商品が並ぶお店。地元を意識して、先代から佐野みそを使用してきたとのこと。
「平日お昼時には、近隣で働く男性のお客様がよく食べに来てくれます。そのときは、麺類とミニ丼ぶりのセットを頼む人が多いですね」と従業員の岡村さん。これだけメニューが豊富だと、定番のおそば以外に何かもう一品頼みたくなる気持ちが湧くのには頷ける。魅力的なメニューばかりで決められない人には、中華そばやうどんなどの麺類とミニカレーライスやミニチャーハンなどのご飯ものの欲張りセットをおすすめする。
再訪を待ち望んで、真心込めたサービスでお客様の心を満たす
毎日のように足繫く通ってくれる地元住民のお客様も多数いるという三隆。そのワケは「料理を提供して終わりにするのではなく、『味はいかがでしたか？』『ご飯の固さはお口に合いましたか？』などとお客様を気遣うコミュニケーションを取るようにしています。また来てもらいたいから、一人ひとりのお客様を大切にするんです」という、従業員の佐藤さんの言葉から伺い知れる。
お客様の心を満たすのは、丹精込めて作られた料理はもちろんなのだが、お客様を思いやるホスピタリティにもあるのではないだろうか。取材している間にも、終始店主の飯島さんと従業員の岡村さん、佐藤さんが楽しそうに会話をしている場面が。お客様から「漫才をしているのかと思った」と言われたことがあるくらいに、お三方は朗らかで居心地の良い空気感を織りなしているのだ。
「若年層も含む、幅広い年代のお客様に来てもらえるお店を目指したい」と飯島さん。どんな年代の人でも、居心地の良いサービスと優しい味に、癒しのひと時を過ごせることは間違いない。
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