小さなバーで過ごす贅沢な大人時間
公開日:2017年8月31日
門前仲町駅のある永代通りから、大横川を渡った牡丹町にあるバー『Bar MAA』。
店名の『MAA(マー)』とは、中国語で「お母さん」の意味。
落ちついた佇まい、おいしいお酒、この店のオーナーで母のような和田百合子さんを慕い訪れる常連さんも多い。
「初めてうちに来た人には、まずこれを飲んでほしい」と、和田さん。
それは、ジントニック(1,000円)。
使うのは、ジン、トニックウォーター、ライム、氷。
いたってシンプルでポピュラーなカクテルながら、作り手の技量が試される1杯。
いつ来ても変わらない「おいしさ」「飲みやすさ」は、この道40年という和田さんならでは。この店でもっとも多く飲まれているカクテルだそう。
ピンクジンを使えば、女性好みの1杯に。(1,200円)
「女性が入りやすい店にしたい」という、その言葉通り、この日もカウンターには女性の常連さん。最初の1杯は、やはりジントニック。
お近づきのしるしに軽くご挨拶。
牡丹町でBar MAAを始める前は、銀座や霞が関に店を持ち、多くのバーテンダーを育てた和田さんが、「地元でのんびりやりたい」と、都心の店を人に任せ、ここへ移ったのが2012年。
「オーセンティック(正統派)にしたくない」と、バーの常識を覆すように、店内は全面禁煙。その理由は「おいしいお酒を飲むため」。
「タバコを吸いたい人は外で。冬は寒いから、かわいそうなんだけどね」
特徴はもうひとつ、メニューがない。
1杯ごと、そのお酒に合うつまみを和田さんが選んで出すスタイル。何が出てくるのかわからない、それも楽しみのひとつ。
このつまみにも定評がある。市販の乾きものは使わず、ほとんどが自家製。チーズやナッツも。
この日、最初に出たのは、チーズのピンクペッパーのせと、豆腐の味噌漬け。
旬の野菜や果物も使うとあって、カウンターにいた男性客にはぶどう(巨峰)が。
お酒はもちろん、つまみも楽しみ。母のような、先輩のような、友人のような和田さんに会いたい、そんな常連さんがポツリポツリと訪れる小さなバー。
ひとりで飲みたい、だけど誰かと話したい、そんな時、思い出してほしい。
リーズナブルながら贅沢な大人時間が楽しめる店がここにあることを。