公開日:2016年2月26日

情報誌「ことみせ」

情報誌「ことみせ」最新号


2016年2月

特集:ものづくりの街の手なじみ道具

いつも手にするボールペン、 今朝菜っぱを切った包丁、 さっきメッセージを送ったスマホ、 ぜんぶ私に欠かせない道具。 でもやっぱり ものづくりを生業(なりわい)とする職人の道具は、 使い込まれたひとつの芸術品のよう。 欠けやシミだって美しい「あじ」となって。 きっと、そんな手放せない道具があるからこそ、 息をのむ美しい作品ができあがるんだろうな。

創る人

畠山工房

革と向き合う職人の
手の一部となった道具

着物の帯と革を合わせて作った、世界にたったひとつの作品。型紙をおこし、革を選び、革裁ち、革漉、縫製などを経て、イメージ通りの作品ができ上がる。丈夫で、裏まで美しいオーダーメイドハンドバッグは職人の誇りの表れ。

畠山工房

道具は、長年の時を経て、まるで手の一部のよう。中には父から譲り受けたものも。

畠山工房

カジュアルな形のトートバッグも、帯地と合わせることで和洋装どちらにも合う上品なアイテムに。

畠山工房

畠山工房

 

斉藤シャツ CAMISA SAITO

着心地の決め手は「正確な裁断」
専用包丁と歩む職人人生

生地から選ぶオーダーメイドシャツの着心地は、丁寧な採寸、正確無比な裁断によって支えられている。職人・斉藤久夫さんの迷いのない裁断は、刀鍛冶が打つ専用の包丁で。「引退するまで使うよ」と斉藤さんは微笑む。

斉藤シャツ

最も手にするのは、切れ味鋭い「正國光」。短く、小さくなった刃は使いこまれてきた証。現在は生産されていない。

斉藤シャツ

採寸のため、初回は来店が必要。無地や定番型のシャツは10,000円~(生地やデザインによって異なる)。

斉藤シャツ

斉藤シャツ

 

江戸切子協同組合ショールーム

日本が誇る極上ギフトは
職人のたゆまぬ努力の賜物

陳列棚には、職人が作った江戸切子がきらびやかな輝きを放って。組織は55の組合員からなり、協力し、切磋琢磨する日々。それぞれの工房では、「今」に満足せず、技術を磨き続け、世界に誇る「和」の工芸品を生み出している。

江戸切子協同組合ショールーム

1つは持っておきたいクリスタル製のぐい吞みは14,000円(税別)~。

江戸切子協同組合ショールーム

(取材協力:門脇硝子加工所)

江戸切子協同組合ショールーム

江戸切子協同組合ショールーム

 

古牧表具インテリア

和紙を貼り合わせ作られる
暮らしとともにある芸術

掛け軸・屏風・襖などを作る表具師・古牧平市さんは、布や和紙を貼り合わせる際に様々な刷毛を使い分ける。その後、刷毛は丁寧に水洗いし、陰干しに。和の雰囲気を演出する表具は、手入れの行き届いた道具ででき上がる。

古牧表具インテリア

縦方向に打つように使う「打ち刷毛」と、仕上げ用の「なで刷毛」。「修業時代から、30年以上使っているものもある」と古牧さん。

古牧表具インテリア

ホテルや料亭に飾られる屏風製作から、一般家庭の襖や障子の張替まで行う。古牧さんは東京都のマイスター賞も受賞。

古牧表具インテリア

古牧表具インテリア

 

GLASS-LAB

若き職人が作る
ライフスタイルに似合うガラス

伝統工芸品「江戸硝子」の技法で作られた「液ダレしない醤油差し」。蓋が収まるよう、瓶口の内側を削ることで、見た目に美しく使い勝手の良い作品に完成する。これぞ若きガラス加工職人の仕事。

GLASS-LAB

穴を空ける・広げるなどができる機械「ボール盤」。切削工具を取り付けた主軸を回転させながら下げることで、下の台に置いた素材を加工していく。工具を替えれば様々な用途に。

GLASS-LAB

1個2,200円。デザインも多数。ボール盤を使った加工体験も(要予約)。

GLASS-LAB

GLASS-LAB

 

堀口硝子

職人の技術とともに
ガラスを芸術にする硬い歯

球状の花瓶の全面に伝統的な籠目文様を施した「緑被総籠目文丸花生け(みどりきせそうかごめもんまるはないけ)(大)」。上部に開いた小さな穴から中を覗き、確認しながら外側をカットしていく。高度な技術を持つ職人だからこそ作り上げられる逸品。

堀口硝子

「ダイヤホイール」は製作に欠かせない円盤状の歯。機械に取り付け回転させ、そこにガラスをあてて削りながら文様を施していく。作品により直径や角度の違う歯を選んで使う。

堀口硝子

「魚子文天開盃(ななこもんてんかいはい)」18,000円。朝顔の花のように、また伏せれば富士山を思わせる遊び心あふれるデザイン。

堀口硝子

堀口硝子

 

江盛堂印舗

「彫る」を生業にして50年以上
職人が選んだ独立独歩の道

家業の印材店を継いだ後、取引先の職人が印鑑を彫る様子を見ながら、独学で技術を覚えていった店主・荻上和男さん。長年使い込まれた印刀を手に、粗彫から仕上げまで手作業で作られる印鑑は、細部にまで味わいがあり美しい。

江盛堂印舗

刃が短くなると巻き付けてある藤をほどき、刃を出してまた自分で巻く。切れ味が落ちたらすぐ刃を研ぐことも大切な作業。

江盛堂印舗

水牛やシープホーンなど印材も豊富。つげの印鑑(Ø15mm)はケース込みで4,800円。

江盛堂印舗

江盛堂印舗

 

使う人

吉田畳店

潔く裁つことから始まる
居心地の良い畳作り

創業は大正時代。先代から引き継いだ技術と道具を使う4代目・吉田精治さんは、職人歴40年以上。イグサの他、和紙など様々な素材や色の畳表を使い、ライフスタイルや使う場所に応じた多様な注文に応える。

吉田畳店

吉田畳店

畳職人に欠かせない道具のひとつが、畳表(ゴザ)の裁断や糸を裁つために使う畳包丁。刃金は常に研がれ、その減り具合に仕事への意気込みや誇りを感じる。

吉田畳店

 

中華料理 楽楽

みんなの心に残る「美味」のため
今日も、ひたすら腕と鍋をふるう

4代目の中島將行さんがのれんを守り、家族で営む。五目チャーハンやあんかけ揚げワンタンなど、正統派の広東風中華料理に「あの味が忘れられない」とハマってしまう人も多数。記憶に残る一皿のため、店主一家は今日も重い鍋をふるう。

中華料理 楽楽

中華料理 楽楽

数年で穴が開くこともあるほど頻繁に使われる北京鍋は、買い替え時、大きさや深さ、重さなど、すべてにおいて納得するものを探すそう。

中華料理 楽楽

「五目チャーハン」740円。

中華料理 楽楽

 

買う

飯塚商店

人が作り、人が使う
愛すべき道具たち

無駄なく、見た目も美しい暮らしの中の道具の数々。ジョウゴや中華鍋、鍋を洗う時に使うササラ、木製の湯桶など、ここには職人の手による「作品」がいっぱい。時代は変わっても、良いものは支持され続けることを証明!

飯塚商店

1954年に金物店として創業。家庭雑貨をはじめ、鍋や調理道具などは調理のプロからも一目置かれる品揃え。先人の知恵で作られた「必要なもの」が、ここにはちゃんとある。

飯塚商店
 

飯塚商店

 

keyboard_arrow_up