創る人
畠山工房
革と向き合う職人の
手の一部となった道具
着物の帯と革を合わせて作った、世界にたったひとつの作品。型紙をおこし、革を選び、革裁ち、革漉、縫製などを経て、イメージ通りの作品ができ上がる。丈夫で、裏まで美しいオーダーメイドハンドバッグは職人の誇りの表れ。
道具は、長年の時を経て、まるで手の一部のよう。中には父から譲り受けたものも。
カジュアルな形のトートバッグも、帯地と合わせることで和洋装どちらにも合う上品なアイテムに。
斉藤シャツ CAMISA SAITO
着心地の決め手は「正確な裁断」
専用包丁と歩む職人人生
生地から選ぶオーダーメイドシャツの着心地は、丁寧な採寸、正確無比な裁断によって支えられている。職人・斉藤久夫さんの迷いのない裁断は、刀鍛冶が打つ専用の包丁で。「引退するまで使うよ」と斉藤さんは微笑む。
最も手にするのは、切れ味鋭い「正國光」。短く、小さくなった刃は使いこまれてきた証。現在は生産されていない。
採寸のため、初回は来店が必要。無地や定番型のシャツは10,000円~(生地やデザインによって異なる)。
江戸切子協同組合ショールーム
日本が誇る極上ギフトは
職人のたゆまぬ努力の賜物
陳列棚には、職人が作った江戸切子がきらびやかな輝きを放って。組織は55の組合員からなり、協力し、切磋琢磨する日々。それぞれの工房では、「今」に満足せず、技術を磨き続け、世界に誇る「和」の工芸品を生み出している。
1つは持っておきたいクリスタル製のぐい吞みは14,000円(税別)~。
(取材協力:門脇硝子加工所)
古牧表具インテリア
和紙を貼り合わせ作られる
暮らしとともにある芸術
掛け軸・屏風・襖などを作る表具師・古牧平市さんは、布や和紙を貼り合わせる際に様々な刷毛を使い分ける。その後、刷毛は丁寧に水洗いし、陰干しに。和の雰囲気を演出する表具は、手入れの行き届いた道具ででき上がる。
縦方向に打つように使う「打ち刷毛」と、仕上げ用の「なで刷毛」。「修業時代から、30年以上使っているものもある」と古牧さん。
ホテルや料亭に飾られる屏風製作から、一般家庭の襖や障子の張替まで行う。古牧さんは東京都のマイスター賞も受賞。
GLASS-LAB
若き職人が作る
ライフスタイルに似合うガラス
伝統工芸品「江戸硝子」の技法で作られた「液ダレしない醤油差し」。蓋が収まるよう、瓶口の内側を削ることで、見た目に美しく使い勝手の良い作品に完成する。これぞ若きガラス加工職人の仕事。
穴を空ける・広げるなどができる機械「ボール盤」。切削工具を取り付けた主軸を回転させながら下げることで、下の台に置いた素材を加工していく。工具を替えれば様々な用途に。
1個2,200円。デザインも多数。ボール盤を使った加工体験も(要予約)。
堀口硝子
職人の技術とともに
ガラスを芸術にする硬い歯
球状の花瓶の全面に伝統的な籠目文様を施した「緑被総籠目文丸花生け(みどりきせそうかごめもんまるはないけ)(大)」。上部に開いた小さな穴から中を覗き、確認しながら外側をカットしていく。高度な技術を持つ職人だからこそ作り上げられる逸品。
「ダイヤホイール」は製作に欠かせない円盤状の歯。機械に取り付け回転させ、そこにガラスをあてて削りながら文様を施していく。作品により直径や角度の違う歯を選んで使う。
「魚子文天開盃(ななこもんてんかいはい)」18,000円。朝顔の花のように、また伏せれば富士山を思わせる遊び心あふれるデザイン。
江盛堂印舗
「彫る」を生業にして50年以上
職人が選んだ独立独歩の道
家業の印材店を継いだ後、取引先の職人が印鑑を彫る様子を見ながら、独学で技術を覚えていった店主・荻上和男さん。長年使い込まれた印刀を手に、粗彫から仕上げまで手作業で作られる印鑑は、細部にまで味わいがあり美しい。
刃が短くなると巻き付けてある藤をほどき、刃を出してまた自分で巻く。切れ味が落ちたらすぐ刃を研ぐことも大切な作業。
水牛やシープホーンなど印材も豊富。つげの印鑑(Ø15mm)はケース込みで4,800円。
使う人
吉田畳店
潔く裁つことから始まる
居心地の良い畳作り
創業は大正時代。先代から引き継いだ技術と道具を使う4代目・吉田精治さんは、職人歴40年以上。イグサの他、和紙など様々な素材や色の畳表を使い、ライフスタイルや使う場所に応じた多様な注文に応える。
畳職人に欠かせない道具のひとつが、畳表(ゴザ)の裁断や糸を裁つために使う畳包丁。刃金は常に研がれ、その減り具合に仕事への意気込みや誇りを感じる。
中華料理 楽楽
みんなの心に残る「美味」のため
今日も、ひたすら腕と鍋をふるう
4代目の中島將行さんがのれんを守り、家族で営む。五目チャーハンやあんかけ揚げワンタンなど、正統派の広東風中華料理に「あの味が忘れられない」とハマってしまう人も多数。記憶に残る一皿のため、店主一家は今日も重い鍋をふるう。
数年で穴が開くこともあるほど頻繁に使われる北京鍋は、買い替え時、大きさや深さ、重さなど、すべてにおいて納得するものを探すそう。
「五目チャーハン」740円。
買う
飯塚商店
人が作り、人が使う
愛すべき道具たち
無駄なく、見た目も美しい暮らしの中の道具の数々。ジョウゴや中華鍋、鍋を洗う時に使うササラ、木製の湯桶など、ここには職人の手による「作品」がいっぱい。時代は変わっても、良いものは支持され続けることを証明!
1954年に金物店として創業。家庭雑貨をはじめ、鍋や調理道具などは調理のプロからも一目置かれる品揃え。先人の知恵で作られた「必要なもの」が、ここにはちゃんとある。